家族葬は安くない??
家族葬というワードがネットやマスコミで多く使われ、世間にもしっかりと浸透しているのではないでしょうか。
そんな中、「家族葬」という言葉は知っていても実際にしっかりと説明できる人は少ないのではないでしょうか?
そもそも家族葬について明確な定義って何なのでしょうか?
ふと、そんなことを感じたのであらためて家族葬について考えてみようかと思います。
なぜ家族葬が安いと言われているか
一般的に言われている家族葬が安くできる主な理由として以下のようなものがあると思います。
- 家族葬にすると規模が小さくなるので葬儀費用が抑えられる
- 親族しか呼ばなくていいので料理代や返礼品などの費用が抑えられる
- 参列者が少ないので会場を小さくできるので費用が抑えられる
そもそも家族葬って?
家族や近親者等の少人数で行うお葬式の事を一般的に家族葬といいます。
「家族葬」と「密葬」の違い
家族葬と密葬を混同している方も見受けられます。
本来「密葬」とは参列者が多数になることが予測される場合、事前に近親者のみで葬儀を行い、その後に「本葬」や「社葬」、「お別れ会」を行うことを前提としています。
本葬や社葬、お別れ会を前提としない密葬の事を家族葬と呼ぶようになっていったと考えてもいいのかもしれません。
どこまで呼べばいいのか
家族葬をすると決まった時、葬家の方が悩まれるのが「どこまでの付き合いの人を呼べばいいのか?呼ぶべきなのか?」ではないでしょうか。
- 家族だけで行うものなのか(家族以外は一切呼ばないのか)
- ほとんど付き合いのない親戚にも声をかけたほ方がいいのか
- 故人と親しくしていた友人等には声をかけてもいいのか
家族葬の案内(お声かけ)をする範囲には決まりがないので、上のように悩まれたときに明確な答えは有りません。
あくまでも家族や近親者、親しかった方などの少人数のお葬式という認識で、そこに正解や間違いはありません。
家族葬にする理由
家族葬を選択する理由は様々だと思いますが、話を聞いていると以下の2つのケースが多いように感じます。
安いから
家族葬をしたいと言われる方の理由として「費用が抑えられるから」というものが多いのではないでしょうか。
「何かで家族葬だと安く出来ると見たので家族葬で!」と開口一番に言われることもあります。
一概には言えませんが「費用を抑えたい」「でも何もしないのは気が引ける」といった場合のケースです。
最後は家族のみで過ごしたい
お葬式の時に「参列者が多くいると故人との最後の時間をゆっくりと過ごせないから」と家族葬を希望される方もいらっしゃいます。
費用面は関係なく「故人との別れをゆっくり過ごしたい」「参列者に気を遣ってばかりで故人との時間が取れないのは避けたい」といった場合のケースです。
家族葬と一般葬の違い
大きな違いは前項に書いた通り参列者の数です。
葬儀自体の内容はどちらも大きく変わりません。
そのため相互扶助の意味合いのあるお香典が家族葬は集まりにくく、逆に費用負担が大きくなってしまう場合もあります。
香典の考え方
相互扶助の意味合いがあると書きましたが、現代で香典というと金銭の事を意味する場合が多いです。
「これで故人の好きだったものをお供えしてください」「これで葬儀費用の負担が少なくなれば」という故人への弔いや、助け合いの意味合いが根に残る葬送習慣の一部だと私は考えます。
歴史を遡ると更に深い意味合いや確立された背景等様々もあるのですが、今回は簡単に個人的な考えまでにしておきたいと思います。
香典が葬儀費用を軽減するのか?
少し具体的な数字で考えていきたいと思います。
数字とか難しい話は勘弁してくれ!という方は飛ばしても結構です(笑)
以下の数字は株式会社鎌倉新書さんが実施したアンケート 「第3回お葬式に関する全国調査」アンケート結果|いい葬儀 *1を参考にさせていただきました。
香典の合計金額
香典合計額の全国平均は73.8万円
参列者の人数
参列者の全国平均人数は64名
葬儀の飲食の費用
飲食費用の全国平均は29.3万円
返礼品の費用
返礼品の全国平均額は31.8万円
各平均値から割り出す一人当たりの費用
香典:1.2万円
飲食費用:0.5万円
返礼品:0.5万円
1.2-0.5-0.5=0.2
参列者一人当たり約2000円が香典により葬儀費用を負担してもらえる計算になります。
もし、一般的な葬儀をして参列者が全国平均の64名だった場合、葬儀費用のうち12.8万円を参列者の方に負担してもらえる事になります。
あくまでも平均値で計算したので実際の数字は前後すると思いますが、それでも参列者によるお香典は葬儀費用の一部を負担してもらえる場合が多いと思います。
家族葬のメリット
- 故人とのお別れを少人数でゆっくりとできる
- 参列者に気を遣う事がなく葬家の精神的負担が少ない
- 参列者も少ないので形式を気にせずに故人や家族の希望の葬儀ができる
- 近親者のみの場合は見栄を張らずに小規模な葬儀にできる
家族葬のデメリット
- 参列者が少ないので香典が少なくなる
- 家族葬と案内していたのに当日参列され、急な対応が必要になる場合がある
- 家族と参列者との間に認識のズレが生じた場合トラブルに発展することがある
- 親戚等から「お世話になった人も呼ばないで...」等と言われる場合もある
- 後から亡くなった事を知った方が自宅に弔問に訪れることがある
- 葬儀に参列したかったと後々言われることがある
- 上記のように葬儀が終わった後に色々と苦労することが多い
結局家族葬は安いのか?
個人的見解では「家族葬は決して安くはないと思っている」です。
規模が小さくなる事によるメリットも少なからずありますし、考え方は様々だと思いますが、前項で計算した通り香典による費用負担を考えた場合は普通に葬儀をした方が安くなるのではないか?と思います。
葬儀費用を抑えたいという理由での家族葬の選択には疑問が残ります。
費用を抑えたいのであれば、同程度の葬儀を普通に行うことが一番だと思いますし、ストレートに葬儀社に「予算は○○万円です」そして「それでも葬儀をしっかりしてあげたい」と伝えるのが一番だと思います。
良い葬儀社はそこで色々な提案をしてくれはずです。
逆に「では家族葬にしましょう」「1日葬や直葬などもありますよ」などと言ってくる葬儀社は信頼できないかもしれません。
家族でのお別れを大切にしたい場合や最後の時間をゆっくりと過ごしたいと考えている方には家族葬は良い選択といえるかもしれません。
あなたにとって家族葬はベストだと思いますか?
このブログを読んでくれているそこのあなた!
今一度「家族葬」について考えてみるいい機会かもしれませんね!
*1:参考データ
調査名:第3回お葬式に関する全国調査
調査実施者:株式会社鎌倉新書
調査対象:直近2年以内に葬儀を行った(携わった)経験のある日本全国の40歳以上の男女
調査手法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケート専門サイト「アイリサーチ」を活用したインターネット調査
調査期間:2017.10.24~2017.10.26
有効回答数:1999件