時には逆説的に考える~いち葬儀屋さんの雑記~

いち葬儀屋さんが葬儀関連をメインにそれ以外の事も「時には逆説的」に「時には普通」に考える超個人的ブログ

葬儀は誰のためにあるのか

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近年では従来の形式にとらわれない様々な形の葬儀があり、葬儀に対する考えや関わり方が多種多様になってきていると感じます。

そこで、そもそも葬儀とは誰のために行うのか?というところにスポットをあて考えていきたいと思います。

故人のため

やはり葬儀は一般的に故人の為に行うのが大前提となるのではないでしょうか?

故人を偲び、故人に感謝をする場としての意味合いが強いと感じます。

仏式では僧侶がお経を上げることにより成仏をしてもらうなど、仏式に限らず各宗教や宗派による儀式は故人のためにあると言えます。

故人の好きだったお花や物で最後を綺麗に飾ってあげたりと、故人の事を想い考え葬儀を行うことは「故人のために葬儀を行っている」といえるのではないでしょうか。

残された家族ため

残された家族が故人とのお別れをするために行うのはもちろん、ご遺体をお骨にし埋葬や散骨するため等、物理的な意味合いも当然ながらあると思います。

しかし、お通夜に夜通し故人との時間を過ごして感謝の伝え、思い出を回想したり、告別式で故人との最後の別れをし、火葬後にお骨になった姿を見て「亡くなったのだな」と実感される方も多くいるかと思います。

故人への想いが強い方ほど、これらの「最後の儀式」を行うことで、実感できていなかった故人の死を受け止め、気持ちを整理することへ繋がっていくのだと思います。

残された友人のため

家族と同様に故人の死を受け止め、気持ちを整理したりするのに葬儀に参列する事は大きな役割をもっているのではないでしょうか。

柩の中にいる故人に会ったり、通夜振る舞いの席で故人との思い出を参列者と共に語り故人との関わりを実感し、遺族へ生前の感謝を伝えたりなど、葬儀が家族以外の方にも必要な場として存在しているのではないでしょうか。

葬儀の形から考える

様々な形の葬儀がある中で、近年行われることの多い形式を大きく以下のように分類して考えてみたいと思います。

一般葬

身内だけではなく様々な方を呼んで行う葬儀のことで、付き合いが多い場合や故人や葬家の人間関係を重視した従来的な葬儀の形態です。

様々な葬儀が増えてきている中で、一般的に葬儀と言われて想像するのがこの一般葬である場合が多いのではないでしょうか。

故人と親しかった友人や関係者の方が故人との最後の時間を過ごせるので身内だけでなく、生前に付き合いのあった方々が故人とのお別れの場を共有できます。

この場合、一般葬は「故人のため」「残された家族のため」「残された友人のため」と広く多くの方のために行われる意味合いがあるのではないでしょうか。

家族葬

家族や親族等の近親者のみや、特に親しかった方が少人数参列するコンパクトな葬儀の形態です。

参列者の数が少なく、家族が故人との最後の時間をゆっくりと過ごしやすく、身内のみの小規模な葬儀の場合は参列者の事を気にすることなく、故人や家族の希望を形にした形式にとらわれることのない比較的自由な葬儀を行うこともできます。

この場合、家族葬は「故人のため」「残された家族のため」と一部の方ためにより深く行われる意味合いが強いのではないでしょうか。

一日葬

一般葬や家族葬は「お通夜」「葬儀式・告別式」と2日間行うのに対し、一日葬はその名の通り「お通夜」を行わずに1日で葬儀式から火葬まで行う葬儀の形態です。

参列者の数も少なく、親戚が遠方から来られる場合に1日で葬儀を終えることにより、家族や親戚の負担を軽減することができます。

この場合、一日葬は「故人のため」「残された家族のため」と一部の限られた方ために行われる意味合いが強いのではないでしょうか。

直葬・火葬式

「お通夜」「葬儀式・告別式」を行わずに火葬のみを行う葬儀の形態です。

亡くなられた所と供養する場所が離れている等で、先に火葬のみを行い後日葬儀(骨葬)を行う場合や、費用を抑えるためだったりと様々なケースがあります。

火葬炉の前で簡単なお別れをする場合や、宗教者が簡単な供養をする場合もあります。

この場合は大きく2つのケースに分かれます。

後日きちんと葬儀(骨葬)を行う場合

後々の事まで考えると「故人のため」「残された家族のため」「残された友人のため」と一般葬と同じく、広く多くの方のために行われるための第一段階であるといえるかもしれません。

後に葬儀を行わない場合

この場合は「残された家族のため」に行われる意味合いが強いのではないかと思います。

故人のためでもあるとは思いますが、基本的にはいかに費用や時間をかけずに行うか?といったところに主観が置かれている場合が多いのかと思います。

中には本来であれば「きちんと葬儀を行いたい」と思っていながらも費用の面で泣く泣く直送・火葬式を選択せざるをえないという方もいます。

そのような場合は「故人のため」としてもいいのかもしれませんね。

葬儀をどうとらえるか

葬儀とは故人とのお別れの場であり、時に宗教色が色濃く表れる儀式です。

故人のために行うことはもちろん、残された家族や友人が故人とお別れをし、自身の気持ちを整理したり、区切りをつけるためにも必要な儀式でもあると思います。

近年では高い葬儀費用や葬儀費用をいかに抑えるかに意識が行き、単純にご遺体をお骨にし、埋葬や散骨するためだけに「火葬のみを行う」という選択をされる方もいるかもしれません。

費用の面に意識がい行き過ぎて「葬送」本来の意味合いを忘れてしまっていませんか?

このブログを読んでくれているそこのあなた!

今一度「葬儀について考えてみる」いい機会なのかもしれませんね!